ベイトリールのオーバーホールのやり方|メーカーに出す手順・料金と自分でできる手入れの範囲

ベイトリールのオーバーホールは、ボディを開けてギアまで分解する整備です。ダイワもシマノも、利用者がこの分解をすることをすすめていません。
オーバーホールはメーカーに出し、自分では洗浄と、取扱説明書が示す箇所への注油までにとどめるのが確実です。窓口は、ダイワが SLP、シマノが販売店かダイレクト修理、アブガルシアが販売店です。工賃(税込)は両軸リールでシマノ3,630円から、ダイワ(SLP)4,950円で、交換するパーツの代金が加わります。目安は年に1回です。
この記事の要点
- ボディを開ける分解は、ダイワ・シマノともすすめていない
- 自分でやるのは真水での洗浄と、指定の箇所への少量の注油まで
- 両軸リールの工賃(税込)はシマノ3,630円〜、ダイワ(SLP)4,950円。パーツ代は別
- 目安は年に1回(シマノは、頻繁に釣行するなら半年に1回)。水没させたら時期を待たずに出す
オーバーホールを自分でやらずメーカーに出す理由
メーカーが利用者による分解をすすめておらず、自分で分解すると保証や修理の受付に響くことがあるためです。
メーカーのオーバーホールでは、リールを全部ばらして作動を点検し、部品ごとに洗浄して、傷んだ部品やこの先不具合が出そうな部品を交換し、グリスを塗って調整し直します(SLP:アフターサービス)。
この分解について、各メーカーは次のように案内しています。
- ダイワ:「ギア部などリールを分解してのお手入れはお止めください」(ダイワ:オイル・グリス用途一覧表)
- シマノ:ボディの密閉性が高く、ギアも緻密に組み上げているため、むやみに分解すると元の巻き心地に戻らないことがある(シマノ:ベイトリールの日常メンテナンス)。内部の部品は本体ごと修理に出すようすすめ、自分で分解・組み立てる方法は案内していません(シマノ:修理・オーバーホールのご案内)
- アブガルシア:自分で分解したリールは、メーカー保証の対象外となり、修理やオーバーホールを断ることがある(ピュア・フィッシング・ジャパン:よくある質問)
保証にも関わります。ダイワは、記載の箇所以外や記載の量を外れた注油によるリールの不具合・破損は保証しないとしています(ダイワ:オイル・グリス用途一覧表)。
自分でやってよい範囲|真水の洗浄と指定箇所への注油
自分でできるのは、塩気と汚れを落とし、スプールや回転軸まわりの必要な箇所にオイルやグリスを差すところまでです。シマノは、日常のメンテナンスはこれだけで十分としています(シマノ:ベイトリールの日常メンテナンス)。
🟢 自分でやってよい手入れ
- シャワーで洗える機種は、ドラグを締めて真水で1〜2分洗う
- 風通しのよい日陰で自然乾燥
- 取扱説明書が示す箇所に、純正のオイル・グリスを少量
- ダイワのシャワー洗浄対応機種は、サイドプレートとスプールを外して流水で洗う手順も案内
釣行後の手入れ
🔴 自分ではしないこと
- フレーム内部・ギア部の分解(オーバーホールに出す)
- マグシールド部の分解と注油
- 水抜き穴・ドラグ部への注油
- リール内部へのエアゾール系防錆潤滑剤
分解が要る整備はオーバーホールへ
洗い方と乾かし方の要点は次のとおりです。
- ドラグを締め込んでから、ハンドルやクラッチを動かしつつ、シャワーなどの真水で1〜2分洗う(シマノ:25アンタレス 取扱説明書)
- 水に漬け込まない。温水はグリスや油分を流してしまうので使わない(SLP:リールのお手入れ)
- ダイワのベイトリールには、シャワーで洗える機種と洗えない機種がある。洗えない機種は、よく絞った布で拭き取る(SLP:リールのお手入れ)
- ダイワの貫通シャフトタイプの機種は、スプールを外したままハンドルやクラッチを動かすとギアが傷つく(SLP:リールのお手入れ)
- 乾燥は日陰での自然乾燥。ドライヤーの熱風や日なた、スプレー式のエアダスターは避ける(シマノ:ベイトリールの日常メンテナンス)
注油の箇所は、機種によって違います。シマノはブレーキの方式(DCブレーキと遠心ブレーキ)でも違うとしていて、オイルとグリスは純正品を使うよう案内しています(シマノ:ベイトリールの日常メンテナンス)。オイルはごく少量で十分です。ベアリングからあふれたら、ティッシュペーパーなどで吸い取ります(シマノ:25アンタレス 取扱説明書)。
シマノは日常の注油に、純正の「リールオイルスプレー」と「リールグリススプレー」を使い、吹きすぎないよう案内しています(シマノ:ベイトリールの日常メンテナンス)。
注油の注意
- スプレー缶:噴射ガスの多くは可燃性。火気の近くで使わず、使うときは換気し、暖房器具の近くや直射日光が当たる場所など高温になる所に置かない(NITE:スプレー缶で思わぬ事故が発生しています)。
- マグシールド部:マグシールドのボールベアリングそのものへの注油は、絶対にしない。分解・注油はシールド効果を損ない、不具合が出ることがある(SLP:リールのお手入れ)。マグシールド機種は洗剤で洗わない。
- 水抜き穴・ドラグ部:ダイワは水抜き穴、シマノはドラグ部への注油をしないよう案内している(ダイワ:オイル・グリス用途一覧表・シマノ:25アンタレス 取扱説明書)。
- リール内部へのエアゾール系防錆潤滑剤:SLP は、内部に注入されたものが水分と混ざって乳化した例を挙げている(SLP:リールのお手入れ)。
自分で手入れをしたあと回転が重くなったときは、グリスの付けすぎの可能性があります(シマノ:オーバーホールのススメ)。毎回の洗い方と注油の手順は、ベイトリールの日常メンテナンス方法とリールの注油のやり方にまとめています。
メーカーのオーバーホールの出し方|販売店経由とWeb申込
3社とも、釣具の販売店に預けて出せます。シマノとダイワには、店を通さずに送る方法もあります。
症状を書き出す
気になる症状と、コースや予算の希望をまとめておく
販売店に預ける
買った店か、近くの取扱店に持ち込む
見積もりを決める
修理前に金額を知りたいときは、見積もり希望と伝える
受け取る
作業後のリールは店に戻り、店で受け取って支払う
シマノは、取扱店に持ち込むか、ネットの「ダイレクト修理」で申し込みます(シマノ:修理・オーバーホールのご案内)。
- ダイレクト修理は、申し込み後に表示される住所へ着払いで送る
- 料金には「手数料+送料」(リール2,000円・税込)が加わる。オーバーホール料金(パーツ代と工賃)は、店経由と同じ
- 受け取りは、取扱店か、指定した場所への宅配便を選べる
ダイワのアフターサービスは、SLP(株式会社スポーツライフプラネッツ)が受けます。釣具店に預けるか、SLP に直接送る「SLP直通サポートサービス」を使います(SLP:修理のご依頼方法)。
- Web 申し込みとクレジット決済は、SLP PLUS 会員だけが使える
- 会員でなければ「修理申込書」を印刷して同封する。支払いは代金引換だけ(SLP:SLP直通サポートサービス)
- SLP へ送るときの運送会社は自由で、行きの送料は自分で負担する
アブガルシアは、買った店か近くの釣具店に相談します(ピュア・フィッシング・ジャパン:よくある質問)。
シマノは、申し込むときにコースや予算、特に気になる症状を伝えるよう案内しています(シマノ:オーバーホールのススメ)。
オーバーホールの料金と期間
両軸・ベイトリールのオーバーホールの料金は、次のとおりです。
| 比較項目 | シマノ | ダイワ(SLP) | アブガルシア |
|---|---|---|---|
| 工賃 | スタンダードコース3,630円・フルメンテナンスコース4,180円(税込) | オーバーホール4,950円(税込) | オーバーホールの技術料3,000〜18,000円(税抜) |
| パーツ代 | フルメンテナンスは交換パーツの代金が別。スタンダードはパーツ交換なしで、不具合の改善を頼むとフルメンテナンスで受け付け | パーツが要るときは別に加算 | 交換パーツの代金は別 |
| 見積もり | 希望したときに出す。工賃+パーツ代が16,500円を超えると提示される。見積もり後のキャンセルは550円(税込) | 上限金額を書かないと、希望小売価格の半額を超えない範囲で作業。見積もり後のキャンセルは1,100円(税込) | 見積もり後のキャンセルは500円(税抜) |
| 期間 | 見積もりなしで1〜3週間。見積もり希望なら見積もりまで1〜3週間+返答後1〜3週間 | 到着順に着手し、納期の指定は受けない | 見積もりを希望すると通常より時間がかかる |
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出典:シマノ:両軸リール オーバーホール料金・シマノ:修理・オーバーホールのご案内・SLP:修理料金一覧・SLP:修理のご依頼の注意事項・ピュア・フィッシング・ジャパン:アフターサービス
ダイワ(SLP)は、2024年6月1日の店頭預かり分から料金を改定し、3つあったオーバーホールのコースを「オーバーホール」の1つにまとめました(SLP:修理料金改定のお知らせ)。
オーバーホールに出すタイミング|頻度と症状のサイン
頻度の目安は、シマノが一般的な釣行ペースで1年に一度、頻繁に釣行するなら半年に一度程度です(シマノ:ベイトリールの日常メンテナンス)。ダイワは年に一度をすすめています(ダイワ:オイル・グリス用途一覧表)。
日常の手入れで塩噛みやサビは防げても、ギアなどの部品は使ううちに摩耗します(シマノ:ベイトリールの日常メンテナンス)。次の症状が出たら、時期を待たずに出します(シマノ:両軸リール オーバーホール料金)。
| 症状 | 主な原因(シマノの案内) |
|---|---|
| スプールのフリー回転が重い・飛ばない・異音 | スプール軸受けのベアリングの塩噛み・サビ |
| ハンドルを回すとゴリ感・異音 | 本体内部のベアリングの塩噛み・サビ、ギアの傷・摩耗・破損 |
| 糸が片寄って巻かれる | ウォームシャフトの傷・摩耗・破損 |
| クラッチが切れない | クラッチ部の塩噛み、ピニオンギアとスプール軸の固着 |
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海水に水没させたときも、オーバーホールに出すほうが安心です(シマノ:ベイトリールの日常メンテナンス)。症状の切り分けはリールのゴリ感の原因、スピニングリールを含めた頻度の考え方はオーバーホールの頻度にまとめています。
釣行後5分ケア
- シャワーで洗える機種は、ドラグを締めて真水で1〜2分洗う(漬け込まない・温水は使わない)
- ドラグを緩めて、日陰で自然乾燥
- 乾いたら、取扱説明書が示す箇所に純正のオイルを少量
- 年に1回と、ゴリ感・異音・水没のあとはメーカーのオーバーホールへ
よくある質問
ベイトリールのオーバーホールを自分でやってもいいですか?
ダイワは「ギア部などリールを分解してのお手入れはお止めください」、シマノは「無闇に分解すると元の巻きごこちに戻らなくなるケースもあるのでおすすめできません」としています。ボディを開ける分解整備はメーカーに出し、自分では洗浄と取扱説明書が示す箇所への注油までにとどめます。
オーバーホールの料金はいくらですか?
両軸・ベイトリールの工賃(税込)は、シマノがスタンダードコース3,630円・フルメンテナンスコース4,180円、ダイワ(SLP)が4,950円です。交換するパーツの代金は別にかかります。アブガルシアは技術料3,000〜18,000円(税抜)です。料金は予告なく変わることがあります。
オーバーホールにはどれくらいの期間がかかりますか?
シマノは見積もりなしで1〜3週間、見積もりを希望すると見積もりまで1〜3週間、返答後さらに1〜3週間です。ダイワ(SLP)は到着順に着手し、納期の指定は受けていません。
どのくらいの頻度で出せばいいですか?
シマノは一般的な釣行ペースなら1年に一度、頻繁に釣行するなら半年に一度程度、ダイワは年に一度をすすめています。海水に水没させたときは、時期を待たずに出すほうが安心です。
自分で分解したリールもオーバーホールを受けてもらえますか?
アブガルシアは「ご自身で分解された場合、メーカー保証外となり修理やオーバーホールをお断りする事があります」としています。ダイワも、指定の箇所や量を外れた注油による不具合・破損は保証しないとしています。分解はせず、買った店かメーカーに相談してください。