ベイトリールのメンテナンス方法|自分でできる注油場所とオイル・グリスの使い分け

釣行のたびに使うベイトリールも、正しく手入れをしておくと巻き心地が長持ちします。 とはいえ「毎回どこまでやればいいの?」「オイルとグリス、どっちを差すの?」「分解して大丈夫?」と迷う方は多いはずです。
結論から言うと、ベイトリールの日常メンテナンスは、釣行後の水洗い・乾燥・注油の3ステップで、リール用のオイルとグリス、ドライバー、付属のリールレンチがあれば自分でできます。分解整備までは基本的に不要です。
この記事の要点
- ベイトリールのメンテは「水洗い→陰干し→注油」の3ステップで自分でできる
- 注油箇所はスプールのベアリング・スプール軸・ウォームシャフト(レベルワインダー)・クラッチ・ハンドルノブが中心。機種で違うので取扱説明書で確かめる
- スプールのベアリングにはオイル、ハンドルノブ・クラッチ・ウォームシャフトにはグリス。レベルワインダーにオイルは差さない
- 水洗いは釣行のたび、注油は完全に乾いたあと。オーバーホールはシマノが年1回(頻繁なら半年に1回)・ダイワが年1回
- 自分で開けるのはサイドカバーまで。ギアなどボディの中は分解しない
ベイトリールのメンテは「水洗い→乾燥→注油」の3ステップ
ベイトリールの日常メンテナンスは、大きく3つの流れで完結します。 釣行後に水洗いで塩や砂の汚れを落とし、陰干しでしっかり乾かし、必要な箇所に少量の油を差す、これだけです。
塩気と汚れを落とし、スプールや回転軸まわりの必要箇所に注油すれば、日常の手入れとしては十分です。 シマノは、ボディを分解しないこの手入れでも、塩噛みによる固着やサビを防げるとしています(シマノ:ベイトリールの日常メンテナンス)。
水洗い
ドラグを締め、シャワーなどの流水で塩と汚れを流す
乾燥(陰干し)
ドラグを緩め、屋内か風通しのよい日陰で完全に乾かす
注油
完全に乾いてから、取扱説明書の指定箇所にオイル・グリスを差す
分解を伴うオーバーホールは、日常の手入れとは別です。どのくらいの頻度で出すかはリールのオーバーホール頻度の記事で扱っています。
釣行後の水洗いのやり方
水洗いは、ベイトリール特有の可動部に溜まった汚れを流すために行います。 ドラグを締め込み、常温の水道水をシャワーなどの流水でかけ、レベルワインダーやクラッチ周りを念入りに流すのが基本です。
ここを念入りに流すのは、レベルワインダーには糸についた塩分や汚れが残りやすく、クラッチの隙間は塩噛みしやすいからです。
水洗いで気をつけたいこと
- 水に漬け込まない:洗浄はシャワーなどの流水で行います。
- お湯を使わない:温水で洗うとグリスが流れてしまうおそれがあります。
- ドラグ(スタードラグ)は締めてから:ドラグを緩めたまま水を掛けると、内部に水分が入るおそれがあります。
- ダイワのシャワー洗浄に対応していない機種は、水をかけない:濡らした布をよく絞って拭き取ります。
ハンドルまわりは汚れが溜まりやすいので、シマノはハンドルをゆっくり回しながら洗う手順です。クラッチも、ゆっくり動かしながら隙間の汚れを流します(シマノ)。 ただしダイワの貫通シャフトタイプの機種は、スプールを外したままハンドルやクラッチを動かすとギヤが傷つきます。動かすのはスプールを組み直してからです(ダイワ SLP:リールお手入れ)。
「バケツに浸けて丸洗いしたほうが早いのでは」と思うかもしれませんが、シマノもダイワも、水に漬け込む洗い方はしないよう案内しています。 浸水させる洗い方の是非はリールは水洗いしていい?の記事で詳しく解説しています。
また海水を使った後は、塩を残さない真水すすぎがとくに重要です。 海水後のすすぎ手順と頻度はリールの塩抜きのやり方にまとめているので、あわせて確認してください。
ベイトリールの注油場所はどこ?
日常的に注油する場所は、主に次の5か所です。 スプールのベアリング/スプール軸の両端/ウォームシャフト(レベルワインダー)/クラッチ/ハンドルノブで、オイルとグリスのどちらを使うかは箇所と機種で決まっています。
スプール軸の油分が切れると、キャスト時の異音などの原因になります。
スプールのベアリング
オイルを少量。シマノは注油穴キャップを外してスプレー。ダイワのベイトキャスティングリールはベアリング専用オイル
スプール軸の両端
スプールを外して差す。シマノはオイル、ダイワ(SLP)はメンテナンスグリスを少量(貫通シャフトはオイルを薄く)
ウォームシャフト(レベルワインダー)
グリスを塗る(ダイワ)
クラッチ
クラッチレバーと本体の接触部にグリス(ダイワ)
ハンドルノブ
回転部分にグリスを入れ、ノブを回してなじませる
ダイワ(SLP)の手順では、このほかにメカニカルブレーキノブを外して、ピニオンシャフトにもメンテナンスグリスを塗ります(ダイワ SLP:リールお手入れ)。
差したら、余分なオイルはティッシュやキッチンペーパーに吸わせて拭き取ります。スプレーを使うときは、吹きすぎに注意します(シマノ)。
注油は「少量・拭き取り」が鉄則
差せば差すほど滑らかになる、というものではありません。シマノは、自分で手入れして回転が重くなった原因の一つにグリスの付けすぎを挙げています(シマノ:オーバーホールのススメ)。ダイワも、取扱説明書の適量を外れた注油による不具合や破損は保証できないとしています。
差さない箇所とスプレー缶の扱い
- ドラグ部にオイルを差さない:シマノは取扱説明書(25アンタレス)で、ドラグ部にオイルを差さないよう案内しています。ダイワは、ドラグワッシャーには専用のドラググリスを使うよう求めています。
- 水抜き穴・マグシールド・インフィニットストッパー部には差さない:ダイワの案内です(ダイワ:オイル・グリス用途一覧表)。
- ハンドルノブや樹脂部に付いた油は拭き取る:シマノは、オイルやグリスが付いたまま長く置くとノブが膨潤することがあるとしています(シマノ:25アンタレス 取扱説明書)。ダイワも、リールガードオイルが樹脂部に付いたらすぐ拭き取るよう求めています。
- 汎用の防錆潤滑スプレーをリールの中に吹かない:ベアリングに入ると中の油脂が溶け出し、ゴリ感や異音の原因になることがあります(ダイワ SLP:リールお手入れ)。
- スプレー缶は火気の近くで使わず、換気する:噴射ガスの多くは可燃性です。暖房器具の近くや直射日光が当たる場所など、高温になる所にも置きません(NITE:スプレー缶で思わぬ事故が発生しています)。
オイルとグリスの使い分け
スプールのベアリングにはオイル、ハンドルノブ・クラッチ・ウォームシャフトにはグリスが基本です。 スプール軸はメーカーで違います。シマノはオイルです。ダイワ(SLP)は両端にメンテナンスグリスを少量塗り、貫通シャフトの機種はオイルを薄く延ばします。
グリスはオイルより粘度が高く、ダイワの製品でもリールガードグリスがいちばん粘度の高い製品です(ダイワ:オイル・グリス用途一覧表)。
ここでとくに注意したいのが、レベルワインダー(ウォームシャフト)にはオイルではなくグリスという点です。 ダイワの用途一覧では、ベイトリールのリールガードオイルはスプールボールベアリングとスプールシャフト以外の箇所に推奨されていません。
「全部オイルでよいのでは」と思うかもしれませんが、推奨以外のオイル・グリスや、指定外の箇所への注油による不具合・破損は、ダイワは保証できないとしています。
注油とグリスアップの箇所は機種で違い、シマノではDCブレーキと遠心ブレーキ(SVSインフィニティ)でも違います(シマノ:ベイトリールの日常メンテナンス・ダイワ:オイル・グリス用途一覧表)。お手持ちのリールの取扱説明書で確かめてください。 シマノは、オイルとグリスに純正品を使うよう求めています。下の2つは、シマノが取扱説明書で純正品として挙げているスプレーです。 ダイワのリールには、取扱説明書が推奨するオイル・グリスを使います(ベイトキャスティングモデルのスプールベアリングは専用オイル)。
レベルワインダー・クラッチ・ブレーキ周りの手入れ
レベルワインダーは拭き掃除してからグリス、クラッチは塩を流してからグリス、ブレーキは機種の指定どおりに手入れします。
| 比較項目 | お手入れ内容 | 注油の可否 |
|---|---|---|
| レベルワインダー(ウォームシャフト) | レベルワインド部とウォームシールド部の汚れを拭き取る | ウォームシャフトにグリス(オイルは推奨外=ダイワ) |
| クラッチ(切り替え機構) | 隙間の塩と汚れを流水で流す | クラッチレバーと本体の接触部にグリス(ダイワ) |
| ブレーキ(遠心・マグネット・DC) | シマノ SVSインフィニティはブレーキパイプの汚れを綿棒で落とす | シマノ SVSインフィニティはブレーキパイプにオイル。ほかは取扱説明書の指定どおり |
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レベルワインダーは、レベルワインド部とウォームシールド部の汚れを拭き取ってから、ウォームシャフトにグリスを塗ります。このとき、ラインガイドに糸キズがないかも見ておきます。 拭き取りに使った布の繊維がウォーム部やフレームの内側に残ると、回転不具合の原因になります(ダイワ SLP:リールお手入れ)。
ブレーキまわりは機種の指定どおりに
ベイトリールのメンテナンス頻度の目安
目安は、水洗いと乾燥は釣行のたび、注油は完全に乾いたあとです。 分解を伴うオーバーホールは、シマノが一般的な釣行ペースなら1年に一度(頻繁に釣行するなら半年に一度)、ダイワが年に一度をすすめています。
シマノは日常のメンテナンスを「洗浄→脱水&乾燥→注油&グリスアップ」の順で案内しています。注油は、洗って完全に乾いたあとに差します(シマノ)。
| 比較項目 | タイミング | やること |
|---|---|---|
| 水洗い・乾燥 | 釣行ごと | ドラグを締めて流水で洗い、陰干しで完全に乾かす |
| 注油 | 完全に乾いたあと | 取扱説明書の指定箇所にオイル・グリスを少量 |
| オーバーホール | シマノ:1年に一度(頻繁なら半年に一度)/ダイワ:年に一度 | 購入店かメーカーに依頼する |
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うっかり海水に水没させてしまったときも、オーバーホールに出すほうが安心です(シマノ)。
頻度や量が分からないとき
使うオイル・グリス、注油箇所、適量、頻度が分からない場合は、自分でメンテナンスをせず、SLP(ダイワのアフターサービス)に修理を依頼するよう、ダイワは案内しています(有料・ダイワ:用途一覧表)。
分解整備をどの頻度で出すか、費用の目安についてはリールのオーバーホール頻度の記事で詳しく紹介しています。
分解はどこまで自分でやっていい?
自分で分解してよいのは、サイドカバー(サイドプレート)を開けてスプールを外すところまでです。ギア部やフレームの内部、マグシールドなど防水機構の部分は分解しません。
シマノのベイトリールはボディの密閉性が高く、ギアも緻密に組み上げてあるので、むやみに分解すると元の巻き心地に戻らないことがあります(シマノ)。
深い分解は保証対象外のリスク
- ギア部・フレーム内部を分解して注油しない:回転に支障をきたすおそれがあります。ダイワは、ギア部などリールを分解してのお手入れをやめるよう求めています。
- マグシールド部は注油も分解もしない:シールド効果を損ない、不具合が起きることがあります(ダイワ)。
- 自分で行ったメンテナンスによる破損や回転不良は、ダイワは責任を負えないとしています:不安な場合はメーカーや販売店に相談してください。
- パーツクリーナーは換気し、火気の近くで使わない:スプレー缶の噴射ガスの多くは可燃性です(NITE)。金属用のものは、ゴム・プラスチックパーツや塗装面に使わないよう指定されています(呉工業:パーツクリーナー)。
機種ごとに注油箇所や分解の可否が異なるため、必ず取扱説明書に従ってください。
SLP(ダイワのアフターサービスセンター)も、フレーム内部やマグシールド部の分解による注油は不具合を生じるおそれがあるとしたうえで、簡単なメンテナンスなら自宅でもできるとしています(SLP PLUS:自分でできるベイトリールのメンテナンス方法)。
もし巻きが重い・ゴリ感が出るといった症状が続く場合は、原因の切り分けが必要です。 その見極め方はリールのゴリ感の原因の記事にまとめています。自分で改善しないときは、無理をせずショップやメーカーのオーバーホールに任せましょう。
釣行後5分ケア
- ドラグを締め、真水の流水で塩・汚れを流す
- 水気を拭き取り、ドラグを緩めて陰干しで完全に乾かす
- 乾いたら指定箇所に少量:スプールのベアリングにオイル、ハンドルノブ・ウォームシャフトにグリス
- 分解は日常ケアでは不要。異音が続けば原因を切り分け
まとめ
ベイトリールのメンテナンスは、釣行後の水洗い・陰干し・注油の3ステップが基本です。 注油はスプールのベアリング・スプール軸・ウォームシャフト・クラッチ・ハンドルノブが中心で、オイルとグリスのどちらを使うかは取扱説明書の指定に従います。
レベルワインダーにはオイルではなくグリスを使い、ブレーキまわりは機種の指定どおりに手入れします。水洗いは釣行のたび、注油は完全に乾いたあとです。 自分で開けるのはサイドカバーまでです。ギア部やフレームの内部はメーカーのオーバーホールに任せます。
よくある質問
ベイトリールのメンテナンス頻度はどのくらいですか?
水洗いと乾燥は釣行のたびに行い、注油はリールが完全に乾いてから取扱説明書の指定箇所に差します。ダイワは、注油の頻度や適量が分からない場合は自分でメンテナンスをせず、SLP(ダイワのアフターサービス)に依頼するよう案内しています。分解を伴うオーバーホールは、シマノが一般的な釣行ペースなら1年に一度・頻繁に釣行するなら半年に一度、ダイワが年に一度をすすめています。
レベルワインダーにオイルを差してもいいですか?
差しません。レベルワインダーを動かすウォームシャフトには、グリスを塗ります。ダイワの用途一覧では、ベイトリールのリールガードオイルはスプールボールベアリングとスプールシャフト以外の箇所に推奨されていません。機種ごとの指定は取扱説明書で確かめてください。
ブレーキ(遠心・マグネット)に注油してもいいですか?
機種で違います。シマノの遠心ブレーキ(SVSインフィニティ)搭載機は、サイドカバーのブレーキパイプにオイルをスプレーし、綿棒でパイプ全体に伸ばす手順です。ダイワの用途一覧では、ベイトリールのリールガードオイルはスプールボールベアリングとスプールシャフト以外の箇所に推奨されていません。取扱説明書に書かれていない箇所には差さないでください。
自分でどこまで分解していいですか?
サイドカバー(サイドプレート)を開けてスプールを外すところまでです。シマノは、ボディの密閉性が高くギアも緻密に組み上げているため、むやみに分解すると元の巻き心地に戻らないことがあるとしています。ダイワも、ギア部などリールを分解してのお手入れはやめるよう求めています。ボディの中はメーカーのオーバーホールに任せます。
オイルとグリスは両方そろえる必要がありますか?
はい。シマノは日常の注油に「リールオイルスプレー」と「リールグリススプレー」を使います。ダイワの用途一覧でも、ベイトリールのオイルはスプールボールベアリングとスプールシャフト、グリスはハンドルノブ・クラッチ・ウォームシャフトと、使う箇所が分かれています。推奨以外のオイル・グリスを使った場合の不具合や破損は、ダイワは保証できないとしています。