リールのグリスとオイルの違いと使い分け|粘度・塗る場所・使ってはいけない箇所まで解説

リールのグリスとオイルの違いと使い分け|粘度・塗る場所・使ってはいけない箇所まで解説

リールのお手入れを始めると、まず迷うのが「オイルとグリス、何がどう違うの?」という点ではないでしょうか。 どちらも潤滑剤ですが、性質も塗る場所もまったく違います。

結論から言うと、さらさらのオイルは回転部・とろみのあるグリスはギアや摺動部に使い分けるのが基本で、片方だけで代用することはできません。適材適所が、巻き心地とリールの寿命を左右します。

この記事では、オイルとグリスの粘度や成分の違いから、どこに塗るかの使い分け、代用のNG例、絶対に塗ってはいけない箇所、純正と汎用の選び方までまとめました。

この記事の要点

  • オイル=低粘度でさらさら(回転部向き)/グリス=高粘度で半固形(ギア・摺動部向き)
  • 片方だけで代用は不可。ギアにオイルは流れ落ち、回転部にグリスは巻き重りの原因
  • マグシールドなど防水機構部への注油・グリスは厳禁。ドラグは専用ドラググリスのみ
  • 迷ったら自分のリールのメーカー純正を選ぶのが無難

リールのグリスとオイルの違いは?まず結論

いちばん大事な結論から言うと、オイルは回転部・グリスはギアと摺動部に使い、両者は代用がきかないということです。

釣り用リールのオイルとグリスの容器2種を並べたクローズアップ
さらさらのオイルと、とろみのあるグリス。役割がまったく違います

理由は粘度の差にあります。 オイルは低粘度でさらさらしているため、細かく速く動く回転部でも抵抗が少なく、なめらかに回してくれます。 一方グリスは高粘度で半固形。ゆっくり大きな力がかかるギアの歯面にとどまり続け、油膜を保って摩耗を防ぎます。

具体的には、ラインローラーやハンドルノブといった回転部にはオイル、メインギアやピニオンギアといった動力を伝える部分にはグリス、という組み合わせが基本の形です。

「オイル1本あれば全部いけるのでは?」と思う方もいるかもしれません。 ですが、ギアにさらさらのオイルを差すと油膜がすぐ流れ落ちて金属同士がこすれ、摩耗が進みやすくなります。逆に回転部にグリスを使うと抵抗が大きくなり、巻きが重く感じられます。 だからこそ、2種類を用途どおりに使い分けるのが正解です。

比較項目 オイル グリス
粘度・質感 低粘度・さらさら 高粘度・半固形
得意な動き 速く細かい回転 ゆっくり大きな力
主な塗布箇所 ラインローラー・ノブ メインギア・摺動部

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オイルとグリスの粘度・成分の違い(番手・硬さの見方)

オイルとグリスの違いは、成分の構成と粘度にあらわれます(番手=粘度の指標)。

オイルは基本的に流動性の高い油そのものです。 対してグリスは、ベースとなる基油に「増ちょう剤」と呼ばれる成分を加えて半固形状にしたもので、油をその場にとどめる役割を持たせています。とろみがあるのはこの増ちょう剤のおかげです。

番手(粘度の指標)は、数字が小さいほどさらさらで流れやすく、大きいほど硬く保持力が高い代わりに抵抗が増える、と考えるとイメージしやすくなります。 たとえば軽い巻き心地を重視するならさらさら寄り、耐久や防錆を重視するなら硬め寄り、といった好みの調整もできます。

ひとことメモ

番手や粘度は製品ごとに幅があり、同じ「オイル」でも用途別に何種類も出ています。初心者のうちは番手を細かく気にするより、自分のリールのメーカーが指定する純正品をそのまま使うのが失敗の少ない選び方です。

「番手なんて気にせず1本で済ませたい」と感じるかもしれません。 実際、日常のお手入れなら純正指定の標準的なオイル・グリスで十分に事足ります。番手のこだわりは、巻きの軽さや耐久を追い込みたくなってから考えれば大丈夫です。

どこに塗る?オイルとグリスの使い分けの基本

塗る場所の基本は、回転部はオイル・ギアや摺動部はグリスです。動きの種類で選ぶ、と覚えておくと迷いません。

スピニングリールでの目安は次のとおりです。

オイルを使う回転部

  • ラインローラー
  • ハンドルノブのベアリング
  • ベールの可動軸
  • さらさらで速い回転を助ける

低粘度オイル

グリスを使うギア・摺動部

  • メインギア
  • ピニオンギア
  • ベール反転バネ周り
  • ノブの根元・摺動する金属面

半固形グリス

ベイトリールの場合は、スプール軸の受け(ベアリング)にオイル、ギアやクラッチまわりの摺動部にグリス、というのが基本の考え方です。 どちらのリールでも「くるくる回る所はオイル、噛み合って力を伝える所はグリス」という原則は共通しています。

「もっと細かく、どの穴に何滴差すのか知りたい」という方もいるはずです。 注油箇所ごとの具体的な手順や量の目安は、リールの注油のやり方でくわしく解説しているので、実際に差す前にあわせて読んでおくと安心です。

オイルとグリスの使い分け早見表【比較】

ここまでの内容を、選ぶときに見返せるよう早見表にまとめます。

比較項目 オイル グリス
粘度・質感 低粘度・さらさら 高粘度・半固形
得意な部分 回転部(速く細かい動き) ギア・摺動部(大きな力)
主な塗布箇所 ラインローラー・ノブ・スプール軸受 メインギア・ピニオン・摺動面
持ち(耐久) 流れやすく短め とどまって長持ち
塗りすぎると 垂れる・ホコリを呼ぶ 抵抗増・巻き重り
こんな人に 軽い巻き心地重視 摩耗・防錆を重視

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表のとおり、オイルとグリスは得意分野がはっきり分かれています。 どちらか一方が優れているわけではなく、箇所ごとに向いている方を選ぶのが正解です。基本は両方を手元に用意し、用途別に使い分けましょう。

代用できる?やってはいけないNG例

結論として、釣り用の専用オイル・専用グリスを、用途どおりに使うのが基本です。手近なもので代用しようとすると、かえってリールを傷めることがあります。

代表的なNG例を挙げます。

安全の注意(必ず読んでください)

CRC-556やパーツクリーナーは火気厳禁・換気必須の製品です。潤滑目的で可動部へ直接吹きかけず、古い油の拭き取り(脱脂)には綿棒に含ませて使ってください。異なる薬剤どうしを混ぜて使うのも避けましょう。薬品の安全な取り扱いは消費者庁の情報もあわせて確認してください。

「コスパを考えると汎用品で十分では?」という声もあります。 たしかに汎用品でも潤滑自体はできますが、成分や粘度がリール用に最適化されていないため、想定外の場所に流れ込んだり、ゴミを呼んだりするリスクがあります。特にドラグと防水機構は、代用せず専用品・指定品を使うのが安全です。

使ってはいけない箇所【重要】

これは安全のためにも押さえておきたいポイントです。 リールには、注油やグリスアップをしてはいけない箇所があります。

代表的なのが防水機構部です。 ダイワのマグシールド、シマノのXプロテクトやコアプロテクトといった機構は、専用オイルの膜やシールで水の侵入を防いでいます。ここに市販のオイルやグリスを差すと、膜やシールの機能を損ない、かえって水や砂の侵入を招く恐れがあります。

安全の注意(必ず読んでください)

マグシールド(ダイワ)やXプロテクト・コアプロテクト(シマノ)などの防水機構部への注油・グリスアップは厳禁です。搭載の有無は取扱説明書やメーカー公式で必ず確認してください。また、分解を伴う本格的なグリスアップは、機種によってメーカー保証の対象外になる場合があります。効果や耐久には個体差があり、断定はできません。

もうひとつがドラグです。 ドラグ部にはギア用の通常グリスではなく、滑りをコントロールする専用のドラググリスを使います。ギア用グリスを塗ると効きが不安定になることがあります。

「境目がわかりにくい」と感じる方は、まず取扱説明書で防水機構の有無を確認するのが確実です。 ドラグの手入れや塗り直しの具体的な方法は、リールのドラグの手入れ方法にまとめています。

純正と汎用(メーカー別)はどう違う?選び方

選び方の基本は、迷ったら自分のリールのメーカー純正です。

理由はシンプルで、純正品はそのメーカーのリールの設計に合わせて粘度や成分が調整されているためです。 シマノは公式に、使用箇所ごとの推奨グリス・オイルを早見表として公開しています(シマノ 使用箇所別 推奨グリス・オイル早見表)。どこに何を使うか迷ったときの根拠として役立ちます。

汎用品を選ぶ場合は、釣り用途が明記された製品を選ぶのが前提です。 釣り用のリールオイル・リールグリスとして売られているものなら、日常のお手入れに使いやすい粘度で作られています。

リールオイル(回転部用)

リールオイル(回転部用)

楽天 参考価格 ¥847 ※変動します

リールグリス(ギア用)

リールグリス(ギア用)

楽天 参考価格 ¥886 ※変動します

「純正じゃないと壊れるの?」と不安に思う方もいるでしょう。 必ず純正でなければならないわけではありません。ただし、防水機構を搭載した機種やドラグまわりは、メーカーが指定する専用品を使うのが安心です。ふだんの回転部・ギアの注油であれば、釣り用として売られている汎用オイル・グリスでも十分お手入れできます。

どれくらいで塗り直す?頻度の考え方(概要)

塗り直しの目安は、オイルは短め・グリスは長持ちと考えると分かりやすいです。

オイルはさらさらで流れやすいぶん、回転部からは比較的早く抜けていきます。 一方グリスは半固形で歯面にとどまるため、オイルより長く効果が続きます。とはいえ、どちらも使用回数や環境で持ちは大きく変わるため、厳密な頻度を一律に決めることはできません。

ひとことメモ

海水で使ったあとや、雨・砂をかぶったあとは、塩や汚れが油分を痩せさせるため塗り直しの間隔が短くなりがちです。まずは巻き心地の変化(重さ・ゴリ感・異音)を目安に、いつもと違うと感じたら点検・塗り直しを検討しましょう。

「結局、何釣行に1回やればいいの?」という具体的な目安が知りたい方も多いはずです。 注油の頻度と手順はリールの注油のやり方、分解を伴うオーバーホールの頻度はスピニングリールのオーバーホール頻度で掘り下げているので、あわせて確認してください。

釣行後5分ケア

  • 釣行後は真水で塩を流し、水気を拭いて完全乾燥
  • 乾いたら回転部にオイル、ギア・摺動部にグリスを薄く
  • 海水後は油分が痩せやすいので早めに点検・塗り直し
  • はみ出した油は必ず拭き取る

まとめ|オイルとグリスは適材適所で使い分けを

リールのオイルとグリスは、粘度も役割もはっきり違う別物です。 さらさらのオイルは回転部、とろみのあるグリスはギアや摺動部、という使い分けを押さえておけば、日常のお手入れで迷うことはほとんどありません。

そのうえで、防水機構部への注油・グリスは厳禁、ドラグは専用ドラググリス、という「やってはいけない」を守ることが、リールを長く快適に使うコツです。 迷ったら純正、というシンプルな基準も覚えておきましょう。

次は、実際にどこへどう差すのかをリールの注油のやり方で確認し、ドラグまわりはリールのドラグの手入れ方法でチェックしてみてください。

よくある質問

リール用のオイルとグリスの違いは何ですか?

オイルはさらさらとした低粘度の潤滑剤で、ラインローラーやハンドルノブなどの回転部に使います。グリスはとろみのある半固形の潤滑剤で、メインギアや摺動部に使います。粘度と役割が違うため、箇所ごとに使い分けるのが基本です。

オイルかグリスのどちらか一方だけでは足りませんか?

非推奨です。ギアにさらさらのオイルを使うと油膜がすぐ流れ落ちて摩耗が進みやすく、逆に回転部にグリスを使うと抵抗が増えて巻きが重くなります。適材適所で両方を使い分けるのが基本です。

CRC-556で代用できますか?

潤滑目的での代用は非推奨です。浸透力が高く内部のグリスを流してしまうことがあり、ドラグや防水機構部には特に使えません。可動部への直接噴射は避け、古い油の拭き取りには釣り用のパーツクリーナーを使ってください。

塗ってはいけない場所はありますか?

マグシールド(ダイワ)やXプロテクト・コアプロテクト(シマノ)などの防水機構部への注油・グリスアップは厳禁です。ドラグ部にはギア用グリスではなく専用のドラググリスを使います。搭載の有無は取扱説明書で確認してください。

純正じゃないとダメですか?

純正でなければ壊れるわけではありませんが、迷ったら自分のリールのメーカー純正を選ぶのが無難です。汎用品を使う場合は釣り用途が明記された製品を選び、防水機構搭載機やドラグには指定・専用品を使ってください。

どれくらいで塗り直せばいいですか?

オイルは流れやすく持ちが短め、グリスは長持ちしやすい傾向です。厳密な頻度は使用回数や使い方しだいなので一概には言えません。具体的な手順や頻度の目安は注油・オーバーホール頻度の記事を参考にしてください。